小嶋やのwebサイトが表示されているタブレット端末

和菓子店のオンラインショップリニューアルに、人材の知識とネットワークを活用。

食品製造業 × Webマーケティング人材

株式会社小嶋や @佐賀県伊万里市

副業・兼業者
Webマーケティング:50代男性(関西在住) マーケター・会社経営者
契約形態
業務委託
業務内容
Webサイト(ECサイト)リニューアル

ひとつひとつ手作りのどら焼きをはじめ、プリンや地域の農産品なども販売する佐賀県伊万里市の小嶋や。創業以来、毎年店頭売上を伸ばしてきましたが、オンラインショップでの売上という第2の柱の構築のため、人材を活用してオンラインショップのリニューアルを実現しました。

副業人材を活用した背景について教えてください。

私たちは経営者として、常に事業課題や売上を伸ばすにはどうしたら良いかを考えていますし、いろんな所にネットワークも張っています。そんな時に偶然、新聞で地元・伊万里市の副業人材活用事業を知り、興味をもった当時の社長(現・会長)がまずは取引先の伊万里信用金庫に問い合わせたのがきっかけです。

伊万里市と地元の金融機関が東京の会社と提携をして、事業者の支援をしてくれるということで、かねてから思っていたオンラインショップの強化に活用できそうだと思ったんです。こういった機会がなければ、我々のように地方の小さな事業者が豊富なキャリアを積んでいる都市部の人材と直接知り合うことはなかなかありませんし、私たちも日々、変革を求めている。市の補助もあったので、やってみようと思いました。

依頼する内容はどのように決めましたか?

売上を伸ばすには、店頭販売、催事販売、EC販売等、いくつかの手段があると思います。店頭や催事販売には限界がありますが、EC・インターネットって、私たちのような地方にいる者でも全国の人とつながることができる、素晴らしいツールなんですよね。ただ、専門の社員を雇おうと思えば、多額の人件費もかかるだろうし、まず、地方ではそんな優秀な人材はなかなか見つかりません。だったら、この制度を使って、都会の優秀な人材の力を借りよう、ECの売上をアップさせようと思いました。

求めていた人材の要件はありますか?

今までもネット販売は行っていましたが、素人同然の私たちが自力で運営をしていたので限界がありました。まずは現状の分析からはじめ、今後どのようにすれば更に良くなるかを指導してくれる方、欲を言えば、自身で手を動かしてWebサイトのリニューアルまで行ってくれる方を求めていました。

インタビューで質問に答える小嶋やの社長と会長

左から小嶋や社長、会長(人材活用当時の社長)

面談時のポイントや採用した決め手について教えてください。

金曜日に募集を開始したのですが、週末の間に10人を超える方々に応募をいただきました。想像を超える数にびっくりして、慌てて募集を一時ストップしたぐらいです。応募してくださったのは関東、関西など、大都市圏在住の方が中心で、会社員、フリーランス、経営者等、肩書きも年齢もさまざまでしたが、皆、マーケティングやECの知見がある優秀な方ばかりでした。

伊万里信用金庫の担当の方には、募集から書類選考、面談までずっとサポートしてもらいました。各自で書類選考を行った結果、共通して良いと思った3、4人とオンラインで面談。最終的に全員の意見が一致した、マーケティングや事業支援を行っている関西在住の50代の経営者の方を採用しました。とにかく「課題はこうですよね、こうすればもっと売上げが伸びます」と導いてくれる感じが良かったですね。20代、30代といった若い方からの応募が多い中で、若い人にはない安定感と圧倒的な経験値も決め手となりました。あとは、関西人特有の話しやすさもありましたね。面談の最初から「甘いものに目がないんです」と言ってくださって、一気に打ち解けられたような気がします。

伊万里信用金庫の担当者

小嶋やを伴走支援した伊万里信用金庫の担当者

どんな形で支援をしてもらいましたか?活動期間・内容、契約形態について教えてください。

人材とは1ヶ月毎の更新契約を結びました。当初は月2回程度のオンラインミーティングを想定していましたが、人材の方から「それではお互いを知るのに時間がかかるので、何回でもいいですよ」と言っていただき、実際、オンラインミーティング時に課題を与えられて、わずか2日後に「どうなりました?」と連絡が来たこともあります。

多い時には週に何度もミーティングすることもありました。向こうは自営で、時間の融通がきくのもあったのかもしれませんが、私たちはただでさえ不慣れで時間がかかるのに、繁忙期が重なったりするとそこまでの余裕がなくて、つい、後回しになったりするんですよね。それでも、地方の企業にはない圧倒的なスピード感と情報量で振り落とされそうになる私たちを導いて、オンラインショップのリニューアルを進めてくれました。

当初は3、4か月の予定で考えていましたが、人材にはトータルで10ケ月間お世話になりました。その間、コロナ禍ということもあって、一度も現地に来ていただくことはできませんでしたが、最初に「甘いものが好きだ」と言ってくださったこともあり、何度か当社の商品をご注文いただきました。実際に商品を知った上で指導してくれるのはとてもありがたかったですね。

人材と社員の関わりについて教えてください。

やり取りは社長と会長、人材が中心となって行っていましたが、スタッフが定例会議に参加することもありましたね。リニューアルにより現場社員が運用しやすい環境が整ったことで、大抵のことは自分たちだけでできるようになりました。今では社員2人がWEB担当者として、季節ごとの商品の入替や、オンラインショップに掲載する画像の準備なども行ってくれています。

どのような業務を任せましたか?

取り組んでもらったのは買い物がしやすいシステムづくりですね。まず、人材の方がWebサイトのアクセス数を解析してくれたのですが、解析の結果、パソコンよりスマートフォンなどのモバイル機器からのアクセスが多いことがわかりました。そこで、スマートフォンなどのモバイル機器で見やすいようにリニューアルすることになりました。

人材にはリニューアルの方針やWebサイトの方向性を定めてもらい、実際のデザインやWeb制作などの作業は、人材から紹介してもらった業者にお願いしました。非常に良い出来で、当社のWebサイトを見た知り合いから、「どこでリニューアルしたのか、紹介してほしい」と頼まれたぐらいです。リニューアル前のWebサイトは「これだと何屋か分からないよ」と言われるようなものだったのですが、今では一目で「どら焼きを売っている」ということが分かるようになりました。

オンラインショップのスクリーンショット

人材がリニューアルを主導したオンラインショップ

成果はありましたか?また、課題点についてもあれば教えてください。

取引先から「前よりも格段に見やすくなった」と言ってもらえました。実際、Webサイトのリニューアルによって、1日1件程度しかなかった注文がコンスタントに入るようになったので、自分たちの方向性は間違いなかったと自信が持てました。また、最低限ここを触れば更新作業を行えるという環境を築いてくださったので、今では社員だけで更新もできるようになりました。

一方で、人材は全体的な指導や、適切な業者の紹介はしてくれましたが、実際に手を動かしてくれたわけではないんですよね。また、ネット広告やSEO・MEO対策の提案ももらいましたが、さらにお金がかかるので採用しませんでした。やり始めたらキリがないので、「何を、どこまでやるか」を最初に決めておくべきだったかもしれないとは思いますね。ただ、それでもここまで導いてくれた人材への満足度は高いですし、感謝しています。

今、当社では今後の展開として知財の活用に興味を持っているんです。今までは金融機関や佐賀県のよろず支援拠点に相談するぐらいの選択肢しかなかったのが、副業人材も活用できることを知ったおかげで、知財に詳しい方を募集して、活用法についての意見をもらうのも良いかなと考えています。

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