
グラス製造会社が販路拡大に副業人材の本業の「つながり」を活用。異なる顧客層にアプローチ。
製造業 × マーケティング人材
株式会社片岡ケース製作所 @岐阜県多治見市
- 副業・兼業者
- マーケティング人材:40代男性(愛知県在住) 流通・小売系企業勤務
- 契約形態
- 業務委託
- 業務内容
- マーケティング、新商品の開発
岐阜県多治見市にある株式会社片岡ケース製作所の主力製品、暗闇で光る「月光グラス」は、着実に認知度を拡大中。月光グラスの更なる認知度アップのために、片岡ケース製作所では副業人材を活用してマーケティングを推進。人材の持つ「つながり」を利用できたことで、新たな販路を開拓することができました。
副業人材を活用した背景について教えてください。
当社のある岐阜県多治見市は美濃焼をはじめ、古くからものづくりの盛んな地域です。当社も「月光工房」というガラス工房を運営しており、特許技術であるサンドブラスト&蓄光を駆使した月光グラスの開発販売を行っています。技術には自信があるのですが、小さな会社なので、営業、開発は私一人で行っており、なかなか思うように販路が広がらないという課題がありました。
そんな中、以前から当社の状況を理解してくれていた取引先の東濃信用金庫さんから副業人材活用を提案されたのがきっかけで、活用してみようと思いました。
依頼する内容はどのように決めましたか?
以前から販路に課題を抱えていたので、それを脱却したいという思いから認知アップに取り組んでもらうことに決めました。これまでも地元の新聞に取り上げてもらったり、SNSやホームページでアピールしたりもしてきましたが、なかなか効果が上がっていなかったので。また、人材が限られているので、自分たちだけでは新しい手法を考えるにも限界があります。「食器」という枠にとらわれず、新しい活用法についても意見をもらえたらと思いました。
求めていた人材の要件について教えてください。
まず第一に、当社の製品を理解してくれるか、ということを重視しました。当社の製品は、実際に見たり、手に取ってもらったりしないと良さが伝わりづらいんです。逆に言うと、良さを知ってさえもらえれば、購入していただける。当社の製品を理解した上で、認知度アップの手法を一緒に考えてくれる人が欲しいと思いましたね。
面談時のポイントや採用した決め手について教えてください。
17人の応募者の中から、当社の課題を解決してくれるかという視点で2名に絞り、オンラインで面談を行いました。一人は広報戦略に長けている女性の方でした。うちは食器屋なので、食器屋目線でのアピール方法しか分かりませんが、彼女はアパレルや通信、あらゆる業界の知識・経験があったので、全く違った視点で弊社の商品をアピールできるのではないか?と考えたんです。
正直、迷いましたが、実際はもう一人の方の、名古屋市のショッピングセンター勤務の男性を採用させていただきました。近いので必要があればすぐに行き来できる距離であったことと、「副業だけど、本業の勤務先にも話したうえで、本業の勤務先も巻き込んで進めましょう」と言ってもらえたことが決め手となりました。また、面接時に私から商品のアピール方法についての質問をしたんですが、その答えが具体的で、イメージがしやすかったのも大きかったです。
どんな形で支援をしてもらいましたか?活動期間・内容、契約形態について教えてください。
契約してすぐ、私が所用で名古屋に行く機会があり、その時に実際に人材と直接会って話す機会をいただきました。外部の人と一緒に物を作るというのは初めてだったので不安もありましたが、実際に会って話すことで、すぐに打ち解けることができました。
まず、人材の勤務先の催事に出店する機会をいただき、催事出店のための準備を手伝ってもらいました。催事も無事に終わり、現在は新商品の開発に向けて意見をもらったり、市場調査や情報収集をお願いしています。当初は月1回のオンラインミーティングを想定して契約しましたが、実際には毎週のようにSNS等でやり取りをしています。何かあればこちらから投げかけて、それに対する答えをもらう感じです。レスポンスも早く、とても助かっています。

人材のつながりで実現した催事への出店
人材と社員の関わりについて教えてください。
月1回、1時間程度の定例オンラインミーティングには当社の製造スタッフも一緒に参加してもらっています。あらかじめ人材がアジェンダを作ってくれて、それに沿って進める感じですね。私が間接的に社員に伝えるよりも、一緒にミーティングに参加してもらったほうが伝わりやすいですし、作り手の意見もリアルに反映できるので、良い機会となっています。
どのような業務を任せましたか?
最初は催事出店のために色々と尽力をいただきましたが、現在は、新商品の開発に向けた市場調査や情報収集をメインにお願いしています。実は、面接時に人材から当社の製品「月光グラス」をキャンプ向けの商品として販売するのはどうか?と提案をいただいたんです。私の感覚では、キャンプにガラス製品なんて合わないんじゃないか?と思ったのですが、キャンプって日常から離れて、ゆったりとした時間を楽しむためのものでしょう?その時間を楽しむために、高級な切子のグラスを持っていって楽しむ人もいるんだと教えてもらいました。今後は製品の商品化はもちろんのこと、マーケティング戦略についても一緒に考えていきたいと思っています。
成果はありましたか?また、課題点についてもあれば教えてください。
まず、人材の勤務するショッピングセンターの催事に出店することができました。急な出店だったので、十分な数が準備できなかったのですが、持っていった製品カタログはすべて配布できましたし、売上自体も、1日の金額としては毎年出店している地元の陶器祭りよりも多かったです。出店先が高級感のあるショッピングセンターであったこともあり、普段はなかなか出会えないような層のお客さんにも知ってもらえたのは大きかったですね。
商品開発のほうは、現在、OEMで他社さんから依頼を受けている仕事で工房が立て込んでおり、なかなか思うように進んでいないというのが現状です。今の仕事を確実にこなしながら、新商品の開発も進め、早く商品化したいと思っています。そして、商品化できればクラウドファンディングにも挑戦しようと思っていますし、他の戦略についても人材と一緒に考えていきたいと思っています。