
地域密着の工務店がSNSマーケティングの副業人材を活用。新たな顧客獲得を目指す。
建設業 × SNSマーケティング人材
いなばハウジング株式会社 @鳥取県鳥取市
- 副業・兼業者
- SNSマーケティング:30代男性(首都圏在住) 大手不動産系企業勤務
- 契約形態
- 業務委託
- 業務内容
- SNSマーケティング
鳥取県鳥取市にあるいなばハウジング株式会社は、土地や風土の特徴を生かしながら、現代に適した家づくりを探究し続ける地域密着型の工務店。地元の人から愛される企業であり続ける為に、伝統を守りつつも、時代に合わせたプロモーションの仕方を常に模索する中で、副業人材と共にSNSを用いた広告・宣伝に取り組みました。
副業人材を活用した背景について教えてください。
当社は鳥取市の西側にある青谷町で工務店をしていますが、過疎・高齢化が進み、新築需要も少なく、現在は既存のお客様からの紹介で事業を回している状況です。また、これまでの広告・宣伝の方法としてもっとも主流だったのは、新聞の折込チラシによるものでした。ところが、近年では、新築を建てる顧客層は新聞を読まなくなっていて、そこに広告費をかけても「目にしてもらえていない」「商材の魅力を知ってもらう場がない」という悩みがありました。
仲間の工務店が少しずつTwitter(現X)やInstagramといったSNSを使った集客を始めていたので、やってみたいという気持ちはあったものの、SNSには疎く、なかなか一歩が踏み出せないという状況でした。そんな時に、鳥取県立ハローワークから副業人材を使ってみないかと提案を受け、活用しようと思ったのがきっかけです。
依頼する内容はどのように決めましたか?
正直、企業としての課題はたくさんありますし、お願いしたいことは色々ありました。でも、当時はコロナ禍で、毎回こちらに来てもらうのも難しい。だったら、リモートでできる内容にしようと思いました。ホームページの改修も考えましたが、優先度を考えると、まずSNSかなと。SNSだとInstagramやTwitterといった既にあるプラットフォームを使えるので、登録も簡単にできますし、その気になればほんの数分で投稿までできますから。私が決定し、運営を行う私の妻(同社の取締役)と、担当の女性スタッフに伝えました。
実はSNSはいつかやらなければならないと思って、一度、アカウントを作ったことがあったんです。でも、数回投稿しただけで放置していました。鳥取県立ハローワークから声をかけてもらい、いい機会だからやってみようと思いましたね。
求めていた人材の要件について教えてください。
コンサルのようなプロに頼むという方法もありますが、それだとノウハウが蓄積されない。企業SNSの運用ノウハウを持っていることは大前提ですが、当社独自で運営を行っていくためにも、やり方を教えてくれて、具体的なアドバイスをいただける方を求めていました。
面談時のポイントや採用した決め手について教えてください。
募集開始から1週間ほどで9名の応募をいただきました。でも、そこからどうやって絞り込めばよいか分からず、しばらく放置してしまったんですね。さすがに何とかしないといけないと思って、ハローワークの担当者に相談をしたところ、書類選考のサポートをしてくれて、9名から6人に絞ってくれました。その6名の方に面接の連絡をしたのですが、時間が経っているためか、返事が返ってきたのは3名。その3名の方とオンラインで面談を行いました。
3名とも鳥取には縁もゆかりもない、大都市で働いている方だったので、なぜ、当社のような地方の企業に応募してくれたのかを尋ねると、皆さん、地方創生に興味があり、自分のスキル・経験を地方の企業に役立てたいと仰ってくれました。都会で働き生活しながらも、こんなに地方のことを思ってくれる人がいるんだと感動しましたね。
皆さん優秀な方ばかりでとても悩みましたが、最後は私と妻、ハローワークの担当の方3人全員一致で今の人材を選びました。スキルはもちろん大事ですが、決め手は面談した際の雰囲気や、うちの会社に合うか、という人柄でしたね。妻はSNSについてほとんど素人でしたし、担当のスタッフもプライベートでこそSNSを使いこなしてはいましたが、会社として発信するのは初めて。初心者の私たちなので、誰を選んでもそれなりに教えてくれるとは思いますが、うちのカラーだと、その場その場でアドバイスをもらえたり、引っ張っていってくれる人が良いのではと思いました。私たちのフェーズにあった提案をしてくれて、明確なイメージを共有できたのも良かったですね。

いなばハウジング 山田社長
どんな形で支援をしてもらいましたか?活動期間・内容、契約形態について教えてください。
毎月自動更新の1ヶ月単位の契約でスタートして、最初は月に2回、平日の午前中に各2時間ほど、オンラインでミーティングを行い、Twitter、Instagramを使う目的の整理から、投稿の仕方までレクチャーしてもらいました。あとは必要に応じて、メールのやり取りですね。普段は妻とSNS担当のスタッフが参加していますが、時には私も同席することもあります。当時は人材の方が在宅勤務をしていたので、平日の昼間にミーティングできたことはありがたかったですね。
SNSのフォロワー数が目標を超えたので、次はホームページの改修に参加してもらいました。実際の改修作業は地元の広告代理店にお任せしましたが、何度も打合せ資料を見てもらって、意見をもらいましたね。現在も以前ほどの頻度ではありませんが、何かあれば相談させてもらうという形に契約を変更して、相談できる関係を維持させてもらっています。
人材と社員の関わりについて教えてください。
実は、コロナ禍であったこともあり、人材にはいまだに現地に来ていただいたことがないんです。でも、Zoomでのミーティングの最初や最後に雑談をしてコミュニケーションを深めているようです。2時間のミーティングのうちのほんの10分から15分程度ですが、人材の人柄もあって、時には参加している妻や担当のスタッフの楽しそうな笑い声が聞こえてくることもあります。いい関係を築けていると思いますね。
どのような業務を任せましたか?
これまで私は、SNSはとりあえず投稿さえすればファンが増えて、集客に繋がるものなんだと思っていましたが、人材からしっかりとターゲット層、セグメントを絞って投稿しなければいけないとアドバイスをいただきました。私たちは地方の工務店なので、東京や大阪の人から「いいね」が集まっても、それが直接受注に結びつくわけではありません。やはり、地元の人に響く投稿をすることで、ファンを増やしていかなければならない。そのためにはどこをどう強化していくのか、その手法を教えていただきました。
人材は毎回のミーティング時に資料を作ってきてくれたので、非常にわかりやすかったですね。 TwitterやInstagramの仕組みから始まり、ハッシュタグの付け方、投稿内容、投稿時間、いい写真、悪い写真といったことまで、こと細かに教えてもらい、今では担当のスタッフが作った投稿を、妻がチェックするといった形が出来上がりました。

人材が用意したSNSの解説資料
成果はありましたか?また、課題点についてもあれば教えてください。
Twitter、Instagramのフォロワー数それぞれ1000名獲得を目標にスタートし、1年もかからずに達成することができました。今も毎日投稿を目指し、投稿を続けています。フォロワー数の目標を達成し、スタッフと妻だけで投稿できるようになった段階で、人材の方からは自分の役割は終了だとも言われたのですが、私としては、SNS発信強化のゴールはフォロワー数獲得ではなく、それをきっかけにして受注につなげることだと考えているので、達成できるまではお願いします、と伝えました。実際、現在契約をいただけるほとんどの方は事前に当社のホームページやSNSをチェックしてくれているようなので、確実に効果は上がっていると思います。
私が副業人材を導入した2020年は、今ほど副業が浸透しておらず、当社としても手探りの連続でした。課題選定から人材採用まで、かなりのバイタリティがないと難しいとも実感しました。常勤雇用であれば任せられるような仕事も、副業だといつも側にいるわけではないですし、2時間、という限られた中で、どう人材の知識をフルに活用し、教えていただくことがポイントか、ということも実感しました。
当社のある鳥取もそうですが、地方には人がいない。副業人材をいかに活用できるか、という点が今後の会社経営において重要だと思っています。まだ、具体的ではありませんが、当社でも財務に関して、税理士さんや金融機関とはまた違う立場で、ピンポイントで指導してくれるような人材を活用するのも良いかなと考えています。

人材のアドバイスも参考にしてリニューアルしたwebサイト